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2011年の800SX-Rの販売終了から6年の沈黙を経て、「ビギナーでも取っ付きやすくて乗りやすく、それでいてベテランライダーも存分に納得出来るパフォーマンスを有する、幅広い人が楽しめる立ち乗り」という開発コンセプトのもと、2017年春に大復活したスタンドアップPWC「SX-R」。

その心臓部には、従来より定評のある水冷4ストローク4気筒DOHC1,498cm³を搭載。最高出力は800SX-Rの約2倍にもなる152PSを発生し、800SX-R比で約90㎏増となる重量を全く感じさせない圧倒的な動力性能を備えています。トップスピードが100km/h近いということからもその動力性能がおわかりいただけるでしょう。トルク特性はフラットでスムーズ。谷間なく心地よく伸びていき、パワフルさと扱いやすさを兼ね備えています。

このハイパワーを受け止めるために新設計されたハルは、800SX-Rよりひと回り大きくなり、安定性・浮力も大幅にアップされており、停止時でもデッキに立ったまま浮いていられるほどです。格段に高められた安定性により、ビギナーの方でも立って走れるようになるのにそう時間はかからないのではないでしょうか。

しかしその一方でサイズアップに伴う走行性能の低下を危惧される方もおられるかもしれませんが、その心配は無用です。直進は安定性の高さから安心して最高速までスロットルを握っていけ、また、気になる旋回性も水面を確実にグリップするハルとハル後端に装備されたSTX-15Fと同形状のスポンソンにより、小さいコーナーではクイックに、高速コーナーでは安定したコーナーリングが可能になっています。延長されたノーズは、減速時のノーズダイブを防ぐ狙いがあり、また、スタンドアップモデルとしては初めてKSD(カワサキ・スプラッシュ・ディフレクター)が採用され、速域や荒れた水面を走行する際に発生する水しぶきが最小限に抑えられるようになっています。フットスペースも前側が広くなり、よりライディングの自由度が高くなりました。

カワサキらしいデカールデザインをまとった、流麗でシャープなスタイリングはレーシーな印象です。

全身で艇を操り水上を自由に駆け、スポーティーなライディングが楽しめるスタンドアップモデル。「立ち乗りらしく、それでいて全く新しい乗り物」と評されるSX-Rは、これまでのスタンドアップモデルに比べて広い間口を持つ一方で、ベテランライダーも存分に満足できる高い性能と奥深さがあり、レクリエーションからレースまで、幅広いユーザーが楽しめるモデルです。

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テクノプロ代表の山田です。私のSX-Rのインプレッションをお届けしたいと思います。

第一印象で、ノーズの長さから旋回性が鈍いのではないかと思われるかもしれませんが、実際に乗ってみると、それは杞憂に過ぎません。小さいコーナーではしっかり船体を傾けることができ、ノーズがひっかかったりリヤが滑ったりすることもなくタイトかつクイックに曲がることができます。一方高速コーナーでは、船体を少し傾けるだけでアクセルを開けながらでも安定して曲がることができます。なお、直進性については、低速域から高速域までポーポイズもなく、立つ位置に関係なく安定した走行が可能です。

エンジン特性については、谷間もなく今までに経験のないトルクを感じます。ゼロ発進からのスタートではキャビルことや跳ねることもなく、驚きの加速を見せてくれます。トップクラスの3気筒を載せたかつての00SX-Rと同等か、もしくはそれ以上かもしれません。

エンジンパワーもさることながら、ポンプの水噛みの良さは特筆ものです。ランナバウトの真後ろを走行した時でも、泡だらけの水を吸っても進み続けるのにはとてもびっくりさせられました。波間で跳ねてもキャビルことなく加速していきます。SX-Rのフックアップの良さは抜群です。

個人的には、ハンドルの重さ、アクセルの重さが少し気になりますが、これはライダー各自の好みもありますし、アフターマーケットパーツで各ユーザーが自分好みに仕上げていくというのも楽しみの一つかと思います。

SX-Rは、ハルも大きくなり、安定性は格段に良くなっています。かと言って、初めての方がすぐにうまく乗れるという乗り物ではありません。しかし、だからこそ立ち乗りは面白いのです。SX-Rは完成度の高い、本当に素晴らしいスタンドアップに間違いありません。これから立ち乗りにチャレンジしたいビギナーの方にも、そしてベテランライダーにも、自信を持ってお薦めできるモデルです。

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